今更ながらのクリスマスミニＳＳです
勿論、該当ＰＣの背後様の許可は頂いております
お名前は出しませんが、改めて深くお礼申し上げます

正月ネタ・バレンタインネタなど、増やせていけたらと思っております

クリスマスプレゼント

「クリスマスパーティ、一緒に出れなくて御免ね？ちょっと、色々と忙しくて時間が足りなかったんだ」
また、別の機会に一緒に出掛けられると良いね。
確かに、一緒にクリスマスパーティに行かれへんかったんは残念やったけど。
それやのに、まだチャンスをくれる先輩。
その言葉と笑顔だけで十分やったのに。
「それとは別に。これ、天音ちゃんに似合うかなと思って、買ったんだ。趣味に合わなかったら、申し訳ないんだけど。良ければ受け取って欲しいな」
そんな言葉と一緒に差し出された、先輩からのクリスマスプレゼント。
淡い紫色の、フリルのついた可愛いリボン。
その真ん中に、灯りを受けて煌めく紅水晶。

こんなにも綺麗なリボンが、このウチに似合う……？

その言葉が、じんわりと心の中をあったかくしてくれる。
先輩の気持ちに、ウチがどんだけ泣きそうやったか、気づいてはります？
せやけど、此処で泣く訳にもいかん。
グッと奥歯を噛みしめてから、笑顔を作って先輩を見上げる。
「えぇと……プレゼント、めっちゃ嬉しいです。大切に、使わせてもらいますね」
何とか、お礼の言葉をひねり出してみるけど、ちょっと語尾が震えたような気がした。
「あ。お返し、って程でもないんですけど……」
先輩に、それを気づかせんように、ウチも持ってたプレゼントを差し出す。
偶然、出かけた先で見つけた瞬間に先輩に似合いそうやと思て買うた手袋。
星の祈りのまじないをかけて、少しでも先輩の助けになったらって想いも込めて。
「折角なんで、ウチからも。寒い時にでも使ったって下さい」
それから。パーティの事は、もう気にせんといて下さい。
また、いつか一緒に出掛けられるのを楽しみにしますから。
そう付け加えて先輩にプレゼントを手渡す。

こんな、平穏で素晴らしい日常を送れるなんて、この学園に来るまで思ってもみんかった。
ほんまは、こんな綺麗なリボンが似合うなんて言うてもらえる人間とちゃうのに。
今まで誰にも言えんかった事が、此処でなら言える。
誰もが、似たような傷を抱えてる。
それが、こないにも救いに思えるなんて、思ってもみんかった。
ウチは、ほんまに幸せもんやな……。

おおきにな、先輩。